
卓球に軟式・硬式はある???
軟式・硬式の区別があるスポーツといえば野球とテニスを思いうかべる人が多いだろう。軟式テニスは、現在ソフトテニスと呼ばれているが、「軟式野球」・「ソフトテニス」とも、全国大会が開催されるほど盛んににおこなわれている。
実は卓球にも軟式があるのをご存知だろうか。
世界広しといえども、軟式卓球は日本だけで行われているスポーツである。一般によく知られているピンポン球は、アテネ五輪代表の福原愛ちゃんたちも使っている硬式。一方軟式卓球の球は、7割ほどしかはねず、しかも軽くてゆっくり飛ぶので打ち返しやすいと言われている。また、ネットも硬式より2センチ高いので、ラリーが続きやすいという特徴がある。
「全日本軟式選手権」も、1931年以降、ずっと開催されてきた。しかし競技人口は減るばかりで、ついに2001年の大会を最後に70年の歴史に幕をおろしている。
もともと、日本で最初に広まったのは、軟式卓球のほうだった。イギリスからつたわり、当時は今の軟式よりもさらに柔らかいボールが使われていた。日本では、この柔らかなボールを使った卓球が広まっていくが、その後欧米との交流は中断する。
1931年、ヨーロッパの一流選手が来日したとき、日本の卓球関係者は、ボールが硬くなっていることに驚く。日本でもボールをどうするかが、緊急の課題となった。
しかし学生連盟と社会人を中心とした実業団連盟の意見が対立する。すぐに硬式の採用に踏み切った学生連盟に対して実業団連盟はボールをかえると、卓球ばなれがおきかねないと心配し、柔らかなボールを使い続けた。こうして、日本には、硬式と軟式の両方が併存するようになった。
戦後になって、国際交流が盛んになると、中学、高校、大学、社会人の選手権もすべて硬式となっていった。そして1988年ソウル五輪で、卓球がオリンピック競技に採用されると、国際ルールでも正式に硬式が公認球とされた。そのため、日本の柔らかなボールを使う卓球は、世界唯一の軟式卓球となったのだった。
全日本軟式選手権も中止されてしまったが、いまもわずかな愛好者によって、世界で唯一の軟式卓球がまもられている。
|